重篤な眼障害 アカントアメーバ角膜炎 -2009年9月-
最近、アカントアメーバという原生生物による黒目(角膜)の感染症が増加し、大きな問題となっています。アカントアメーバは土壌、粉塵、大気、水道水、井戸水、プール、エアコンなどからよく検出されますが、地球上のいたるところに存在します。健康な人はこのアカントアメーバに感染することは稀なのですが、コンタクトレンズ使用者に関してはアカントアメーバによる角膜感染症(アカントアメーバ角膜炎)が増加しています。アカントアメーバ角膜炎は治療が困難で、失明に至ることもあります。したがって、早期診断、早期治療が求められ、早期に適確な診断ができるかがポイントになります。
アカントアメーバ角膜炎を発症した大半の患者さんは、コンタクトレンズの不衛生な取り扱いや、汚染された水や土壌との目の接触が原因と考えられています。
日本コンタクトレンズ学会と日本眼感染症学会が2007年4月から2008年8月中旬にコンタクトレンズ使用による入院を必要とする重篤な角膜症例の調査を行ったところ、全国の224施設から233件の報告がありました。このうちアカントアメーバが検出されたのは44件で、角膜病巣だけでなく、コンタクトレンズの入ったレンズケースからアカントアメーバが検出されたのは17症例でした。
当院の院長はこれまで数多くの患者さんの目を診察してきたなかで、アカントアメーバ角膜炎の症例を経験しました。
22歳の女性が右目の充血と痛みを訴えて来院されました。診察すると右目に白い線状のにごり(放射状角膜炎といいます)を認めました。抗生剤の点眼等で良くならないので、アカントアメーバ角膜炎を疑い、山口大学附属病院眼科を紹介しました。同病院で微生物検査をしたところ、アカントアメーバによる感染が明らかになりました。患者さんは入院して、しっかりとした治療を受け、幸いなことに完治しましたが、発見が遅れると視力に影響するような後遺症が残ったかもしれません。
この患者さんのコンタクトレンズの取り扱いとレンズケアの問題点を挙げます。
・一度はずしたら捨てなければならないディスポーザブルソフトコンタクトレンズを再使用していました。
・はずしたソフトコンタクトレンズは市販のレンズケースに入れ、保存液はレンズが入っていたパッケージの中に入っていた液をそのまま使用していました。この保存液につけたままで、ソフトコンタクトレンズの洗浄や消毒はしていませんでした。
・レンズケースの洗浄をしませんでした。

