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私のマラソン記 第14回 奥武蔵ウルトラマラソン体験談

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第14回 奥武蔵ウルトラマラソン体験談

 8月5日(日)に開催された第14回奥武蔵ウルトラマラソンに参加(昨年に続いて2回目の参加)しましたので、その報告をします。
大会前日の土曜日は、午前の診療を終えてから、新幹線で博多駅に行き、福岡空港から東京に向かいます(午後は山口大学の先生に診療をお願いしています)。というのも、午後4時半から日本眼科医会の理事会に出席しなければならないからです。私は現在、日本眼科医会の常任理事(主担当:医療対策,副担当:学校保健)で、月に少なくとも1回は東京に出張しています。午後1時前まで診療をして、午後4時半に浜松町の日本眼科医会の事務局に行くのですから、移動も大変です。会議が終わって特に何も予定がなければ、羽田空港からスターフライヤー(20時30分発)に乗って帰ります。診療所に着くのは23時頃ですが、日帰りできるのは有り難いです(スターフライヤー様様です)。
これまでいろいろな大会に出場してきましたが、土曜日の午後6時まで診療をしている関係上、それから下関を出発して間に合う大会は限られていました。ところが、日本眼科医会の会議に出席するようになってから、会議終了後、東京からその日のうちに移動できる大会も、出場できるようになりました。会議の日程と大会の日程を調べて、これまで参加したくてもできなかった大会にもエントリーします。その大会の一つが奥武蔵ウルトラマラソンでした。
昨年も今年も日本眼科医会の理事会の後に懇親会があり、これに参加してからの移動です。懇親会ではおいしい料理が食べられるのです(参加料はちょっと高めです)が、アルコールが...。皆さんはビール、そして冷酒(私はワイン党ですが、以前は冷酒党でした。ですから、実は日本酒にもうるさいのです)をおいしそうに飲まれており、私も勧められて飲みたいのですが、翌日のことを考えて控えなければなりません(結構ツライです)。
懇親会が終わって、都営大江戸線、西武池袋線を利用して、大会会場近くの飯能駅に着いたのは夜12時過ぎ。翌朝は4時起きなのでゆっくり朝食を食べる時間はないと考え、駅のすぐ近くにある吉野家で牛丼を食べてホテルに入りました。移動中に睡眠薬を服用したので、寝つきの悪い私も1時には眠ったと思います。
翌朝は目覚まし時計が鳴る前に目が覚めました。ホテルから飯能駅は歩いて5分程度です。大会会場に向かうマイクロバスが飯能駅を4時40分発ですので、4時半前には行ったのですが、すでに参加者がたくさん集まっていました。会場までは約20分。この間ギュウギュウ詰めのマイクロバスの中で立っていました。グループで参加されている方が多く、皆さんこの大会のことや他のウルトラマラソン大会のことで話が盛り上がっていました。
インターネットでこの大会に参加した方の体験談を見て、興味深かったものを以下に記します(ご本人の了解は得ておりません。コースの高低図も示します)。
・ 8月の第一日曜日に行われる真夏の炎天下、しかも厳しいアップダウンが連続する最大高低差が860mある75kを走ります。このコースは大変レベルの高い大会で100kマラソンに相当するそうです。
・ 高低差はかなりあり、全般的には、折り返しルート片道約30kmで800mを登り、帰りに下ることになるわけですが、その途中にも10箇所ほどのピークがあり、前後にアップダウンがあります。折り返し林間ルートでは平らなところはほとんどありません。
・ コースは平らな所が全くない、高低差約800メートルのタフなコース。すべて舗装路。
・ アップダウン(特に下り)で膝に衝撃がかかるのは必至。
・ 脱水がひどく、脚から大きな塩の固まりが吹き出していました。
・ 水をかぶりながらの走りでした。
・ 地面のアスファルトには水滴の跡、跡、もちろん雨が降ってきたわけでもなく、ランナーの汗が降り始めの雨のようにポツポツと路面に描かれていました。
・ 私の前を走っている約250人のランナーの汗が道路に、夕立の始まる「ぽつぽつ」雨の跡に似ているのに感心しました。そのうち体中の汗がパンツの中を流れ足の汗も加わって靴下では吸収発散の限度を越えているため、靴が「ぐちゃぐちゃ」音がして足が汗のため靴の中で滑ります。
・ 足の親指が痛み出しました。これは下り坂で足が前面に押し出され、足の爪が食い込んだことによる痛み。そして膝の裏に、タイツが食い込んで、かぶれたような状態になってしまいました。もうあちこち痛いです。


 さて、今年のエントリー数は880人を超えていました。年々、参加者が増えているそうです。マラソンブームだと言われていますが、ウルトラマラソンに興味を持つ人も着実に増えています。
朝6時にスタートしました。最初の5kmぐらいは平坦な道ですが、その後緩やかな坂道に入ります。しかし、緩やかと思ったのは大まちがいで、本格的な坂道(アップダウン)が続くのです。道路は舗装されており、車が走れるほどの幅があるので、走ろうと思えば走れるのですが、上りの坂道では多くの人が歩いています(もちろん、トップ集団は全コースを走るのでしょうが、それは別次元の話です)。30℃を超す中を75kmという長い距離走るわけですから、体力を温存しながら、いかに自分のペースでゴールを目指すかが問われます。約3kmごとにエイドステーションが設けられているので、そこでしっかり水分を取ります。汗をたくさんかくということは塩分も体から失われるので塩分を取っておかないと痙攣が起こります。そして、炭水化物も補給しておかないと走れなくなります。
この大会のすばらしいのは、エイドステーションに用意されている果物、野菜、炭水化物、甘い物、塩分のある物、飲み物が充実しているということです(この大会が人気がある最大の理由)。バナナ、スポーツドリンク、水、おにぎりは当然として、エイドステーションによってメロン、スイカ、グレープフルーツ、トマト、キュウリ、ソーメン、冷やっこ、おかゆ、蒸かしいも、カステラ、パン、おしるこ、カキ氷、梅干、コーラ、ジュースなど多くの種類がたくさん用意されています。次のエイドステーションでは何を食べようかと考えるだけでも嬉しくなります。エイドステーションではバケツに水が張ってあり、希望すれば頭から水をかけてくれます。20km過ぎてからは何度も水をかぶって身体を冷やしました。そのうちの2ヶ所のエイドステーションではビキニ姿の女性がランナーのお世話をしてくれます(これもこの大会が好評な理由のひとつ)。3名のうち1名は若い(10代?)女性でした。こんなことを書くとセクハラだと言われますが、ランナーからしてみるともう少しシェイプアップされるといいですよと心の中でささやきました。山の中で若い女性に会えるとリフレッシュします。そばに寄りたいと思いましたが、なんとなく照れくさいというか、いやらしい中年男と思われたくないので、サービスを受けるのは遠慮しました。
去年初めてこの大会に出たときは、どんなコースなんだろう、どんな人たちが走るんだろうなど、いろいろと興味津々でしたが、今年はわかっていることが多いことに加えて、練習不足で臨んだためタイムを縮めることも難しいので、去年ほどモチベーションが上がりません。無理をせずにゴールすることだけを考えました。このコースは折り返しなので、先を行くランナーからは元気をもらい、私より後を行くランナーには元気をあげます。上り坂を歩いていると、下ってくるランナーから「がんばってください」と言われるのですが、疲労で走り出すことができません。ところが、下り坂を走っていると折り返してきたランナーは皆さん走って登ってくるのです。歯をくいしばり、一生懸命走ってきます。中には歩く速さと変わらないくらいのスピードの人もいますが、歩幅は小さくとも走っているのです。その姿から、"がんばってください"という無言のメッセージをもらうのです。私も折り返して、すれちがうランナーに同じ事をします。上りの坂道はきついのですが、歩かず走って前に進みます(この頃はランナーズハイになっていたと思います)。でも、すれちがうランナーがいなくなると上りの坂道は歩いてしまいます。下りの坂道はというと、ゴールまでの距離が短くなると、残っている自分の体力を計算してペースを上げますが、膝がガクガクしてくるので、膝の状態を確認しながらです。私は前半は数えきれないくらいの人に追い抜かれましたが、後半は逆にたくさんの人を抜き、追い抜かれたのは数名だけでした。前半をセーブしたのがよかったと思います。
後半、空は晴れているのに小雨が降り始めたと思ったら、雷が鳴り始め、そのうちどしゃぶりになりました。そういえばこの大会の案内には「落雷を避けるには」という注意書きがありました。その一部を記します。「山の雷は上下左右から襲ってきます。雷が光ったり、鳴ったりした場合は呑気に歩いたりしないで山頂や稜線からすぐ離れ、とにかく姿勢を低くし少しでも窪んだ場所に逃げるようにします。この時、雷の落ちやすい岩場や立木、水辺などの場所は避けるようにします。そして身につけた金属類は外したほうが安全です。ここで注意したいのが、大勢の人が集まっていると雷が落ちやすいということです。避難した場所が安全な場所ならいいのですが、そうでなければ、なるべくバラバラに避難したほうがよりよいと思います。もし、車があればその中に避難するのがベストです。」雷が落ちる名所なのでしょうか?よく雷が人に落ちたというニュースを耳にしますが、そんなことは滅多にないだろうと思っていました。ところが、目の前に大きな木が幹の途中で折れて道路に横たわっています。朝通ったときは何もなかったので、おそらく雷がこの木に落ちた!?恐ろしいと思ったのは私だけではなかったようです。ゴールすると皆さんがあちこちでこのことを話していました。
豪雨はしばらくすると止み、またさっきまでの強い日差しが戻ってきました。すると、舗装された道路の上にモヤがたっています。今降った雨が蒸発しているのです。この雨でウェアや靴は濡れましたが、ランナーは身体を冷やすことができたので、恵の雨となりました。
昨年は雨が降らず、暑いばかりで熱中症にならないか心配でしたが、今年はある意味走りやすい天候で、しっかり練習していればタイムを短縮することができたかもしれません。タイムは昨年より約2分遅れでゴールしましたが、今の私にしてはまずまずの結果でした。
ゴールしてからはシャワー室で汗を流しましたが、シャワーを待つ人で長い列ができていました。足の指を見ると爪が内出血して紫色になっている人が数名います。皆さんウルトラランナーだなぁと実感しました。日焼けで身体が赤く腫れ上がった人が数多くいました(明らかに火傷だと思われる人もいました)。49歳にもなると、有害な紫外線は避けたいものです。肌がなるべく露出しないように頭のてっぺんから足元まで気を遣います。露出した部分には日焼け止めクリームを何度も重ね塗りします。私の服装は長袖のシャツ(①)とロングタイツ(②)、そして帽子です。帽子には日よけ(③)をつけます。①と③の素材はポリエステルメッシュにステンレスを蒸着加工したもので、通気性に富んでいるだけでなく、紫外線をカットするという優れものです。②のロングタイツは脚をサポートするだけでなく、体温の上昇しやすい大腿部前部とふくらはぎの部分に放熱機能の高いベンチレーションメッシュ素材を採用しているので、見た目ほど暑くありません。

 シャワーを浴びた後、マイクロバスに乗って毛呂駅に行き、JRで浜松町まで行ってモノレールで羽田空港に向かいます。途中、赤羽駅内の吉野家で牛丼を食べました。吉野家のいいところは短時間で料理が出てくることです。これまでほとんど吉野家を利用したことはなかったのですが、時間に追われての移動では吉野家の存在は大きく、この2日間続けて通いました。羽田空港でもトンカツ定食を食べ、下関に戻ってもざるそばを食べました。これだけ走ると身体が蛋白質と炭水化物を求めるのです。しっかり食べて寝ました。 大会前後に食べた物に加えて、エイドステーションで口に入れた物を含めると、おそらく75km以上走って消費したカロリー以上のものを摂取したのではないかと思います。適度な運動でかえって食欲がわき、ブタになるというパターンです(人からはよく、適度ではなく過度な運動だといわれますが...)。
 無理をせずにゆっくり走ったので、ゴール後の足の痛みはほとんどなく、翌日もそれほど痛いところはなく、外来診療を行うにあたってはまったく支障はありませんでした。
今回の大会では反省点がありました。
この4週間、4つの論文を缶詰状態で書いていましたので、練習不足であったことと、そのストレスで結構食べてしまったことです(おそろしくてこの数ヶ月、体重計に乗っていません)。食べて運動をしないということは、当然、便秘ぎみになります。一応レースが始まる前にホテルでトイレに行きましたが...。
ウルトラマラソンではエネルギーをたくさん消費するので、いくらエイドステーションでの食べ物が充実しているといっても走る前にしっかり食べておこうと、前夜は懇親会でおいしい料理をたくさん食べて、その上寝る前に牛丼を食べました。しかし、食べたものが数時間で消化されるはずもなく...。走っているうちにだんだんと下腹部に張りが出てきました。上り坂では下腹部に力を入れないと足が前に出ません。下り坂では振動で食べた物が腸の下へ下へと降りていく感じがします。結局、レース途中で2回トイレに駆け込むことになりました。
エイドステーションにはスイカが並べてありました。これだけ暑いとつい手が伸びてしまいます。甘いスイカだったので、ガツガツと食べてしまいました(どのくらい食べたか覚えていません)。強い日差しの中、汗はとめどなく出ます。これだけ汗をかくと尿意をもよおさないはずですが、25kmを過ぎてからは頻回にトイレに行くようになりました(男性はコースから離れた茂みの中でできるので...)。水分を取りすぎたかなぁ...でも多すぎるぐらいのほうがいい、などと考えていると「あぁ!スイカのせいだ!」と気づきました。炎天下の中を走り続けると、思考能力も落ちます。スイカには利尿作用があるのを忘れていました。尿が大量に出るということは、体内は脱水状態になるかもしれません。電解質のバランスを考えてスイカは食べずに、スポーツドリンクと水を1対1の割合で飲むように、そして塩を舐めるように心がけました。それにしても、私にとってスイカの利尿効果はすごいです。はっきり覚えていませんが、女性には後姿を見られたくない行為を20回近くしたと思います。
昨年は以下のメッセージを背中につけて走りましたので、多くの方が声をかけてくれました。ウルトラマラソンはタイムを競うよりも楽しく走ることを目的にしているランナーが多いので、初めて会った方とも会話をしながら走ることがあります。お互いに励ましあうのです。会話のきっかけになるという目的と、下関市をアピールするという目的でこのメッセージを作った(ちなみに、ふくのロゴマークは下関市の正式なシンボルマーク「フクフクマーク」です)のですが、今年は持っていくのを忘れてしまいました。昨年に比べて参加者は多かったのですが、ほとんど会話をすることもなく、少し不完全燃焼でした。