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講習会等講演等抄録 -第43回 日本コンタクトレンズ学会-

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第43回 日本コンタクトレンズ学会
  2000年6月3日
       山口市:山口市民会館


◆ソフトトーリック処方上の注意点

◆知って得するコンタクトレンズ感染症

◆円錐角膜とコンタクトレンズ(座長)

◆コンタクトレンズの選択と処方の実際(座長)

ランチョンセミナー

ソフトトーリック処方上の注意点
トーリックソフトコンタクトレンズの処方のコツ
ウエダ眼科  植田 喜一

球面ソフトコンタクトレンズ(以下SCL)は乱視の矯正効果がほとんどないため、球面SCLで良好な視力が得られない場合にはトーリックSCLを処方する。しかしながら,卜一リックSCLは処方が煩雑であるため,一般に広く普及されていない。そこで,トーリックSCLの処方のコツを述べたい。 トーリックSCLの矯正効果は円柱度数よりも軸による影響が大きいため,いかにレンズが回転しないようにするか、また適切な軸を選ぶことができるかが成功の鍵を握る。そのためにはトーリックレンズの特徴を知る必要がある,レンズの回転は±15°以内,できれば10°以内にしたい。これ以上回転する場合にはべ一スカーブを変える。それでもレンズが回転する場合は他のレンズに変更した方がよい。したがって、うまくいかない場合は数種類のレンズを試してみるとよい。レンズが回転した場合は、円柱軸の補正を行い,卜一リックレンズ軸を決定しなければならないが、成果半減(正加反減)則に従う。また、乱視の矯正は全乱視を完全矯正せずに0.50D 程度残した円柱度数でよい。乱視が0.50D 程度低矯正でも十分な矯正視力が得られることが多く,乱視の過矯正を防ぐことになる。 定期検査で患者が見えにくいことを訴えることがあるが,この場合レンズの軸がずれていることが多い。自覚的屈折検査だけでなく,レンズの上からオートレフラクトメーターで他覚的な屈折検査を行うと残余乱視が強くなっている。細隙灯顕微鏡検査で軸の位置を確認した後に再処方しなけれぱならない。トーリックSCLはその適応を見極め、特徴をしっかり捉えさえすれば処方はそれほど困難ではないので、積極的に処方してほしい。

モーニングセミナー
2000年6月4日 山口市ホテル松政

知って得するコンタクトレンズ感染症
コンタクトレンズによる合併症を起こさないためのノウハウ
ウエダ眼科  植田 喜一

コンタクトレンズ(以下CL)の装用による合併症の中でもっとも問題になるのは角膜感染症であるが、感染症を含めた合併症の主な原因は,1.患者,2.レンズ自体,3.フィッティング,4.使用方法,5.レンズケアに分けられる。健康な若年者の合併症は少ないが、高齢の無水晶体眼患者,糖尿病患者,ドライアイや慢性眼瞼炎患者,ステロイド剤の点眼をしている患者では合併症を生じやすい。また、低Dk値や低含水率素材のレンズの長時間装用による合併症やレンズの劣化,レンズ表面の汚れ・付着物による合併症,フィッティング不良による合併症も日常診療でよく経験する。高Dk値や高含水率素材のレンズであっても連続装用によって高率に合併症を生じる。さらに、最近問題になっているのはレンズケアに起因する合併症である。CLの使用者はレンズケアに関して無関心であったり,正しいケアをしていないことが多い。現在、市販されているケア用品には化学消毒やつけおき洗浄などの多種多様なものがあるが、その取り扱い方法は製品によってそれぞれ異なっているだけでなく,その効果にも違いがある。したがって、最適なケア用品を選択するのにしぱしば苦慮する。 CLによる合併症を起こさないためには、我々眼科医はCLに関する知識を深め、フィッティング技術の向上に努めるだけでなく、レンズケアについても熟知しなけれぱならない。そして、CL使用者に対して正しい知識を与え、使用に際しての十分な説明と指導を行わなければならない。さらに、定期検査の必要性を説き、それを義務づける必要がある。

円錐角膜とコンタクトレンズ
一これならチャレンジできる円錐角膜の処方一
ウエダ眼科  植田 喜一

円錐角膜は10代の若年者に発症することが多く,角膜形状の変化によって強い近視と不正乱視をきたす疾患である。初期の円錐角膜の場合には,眼鏡やソフトコンタクトレンズで対応できるが,進行するとハードコンタクトレンズ(以下HCL)による矯正が必要である。その場合,円錐角膜の程度によって,球面HCLによる2点接触法や3点接触法,非球面HCL,トーリックHCL,多段階カーブHCL,ピギーバック法などの処方を考えなくてはならないが,現在のところ最良の方法は確立されていない。そのため,これらの方法の中からどれを選ぴ,どう処方したらよいかしばしば苦慮する。 そこで,数多くの症例を経験している2人の先生方にビデオを利用して具体的な処方技術を紹介して頂く。 先ず,角膜形状解析について詳しい前田先生には,円錐角膜の診断と軽度から中等度の円錐角膜に対する基本的なCLの処方についてお話しして頂く。次に,糸井先生には中等度から重度の円錐角膜に対する処方について,とくに多段階カーブレンズの処方方法について述ぺて頂き,CLによる処方の限界についても触れて頂く。先生方の日常の診療に有用な情報が得られれば幸いである。

コンタクトレンズ講習会

「コンタクトレンズの選択と処方の実際」
座長:植田 喜一(ウエダ眼科)
   コメンテーター      :西崎 敬四郎(西崎眼科医院)
 ハードコンタクトレンズ  :糸井 素純(糸井眼科医院)
 ハードコンタクトレンズ  :小玉 裕司(小玉眼科医院)
ソフトコンタクトレンズ   :渡邉  潔(ワタナベ眼科)
    トーリックレンズ      :梶田 雅義(福島県立医科大学)

コンタクトレンズの選択と処方の実際
ウエダ眼科  植田 喜一

コンタクトレンズ(以下CL)のフィッティングの目標は,1.よく見えること,2.安全であること,3.快適であることである。これらを満たすためには適切なレンズを選択し,サイズ,ベースカーブ・度数などの規格を決めるだけでなく,レンズデザインの適否を判断しなけれぱならない。そのためにはtry and error を繰り返してベストフィッティングを求める。ところで,このベストフィッティングについては処方する医師によって評価が異なっている。そこで,CLの処方に積極的に取り組んでおられる4人の先生方に各レンズのベストフィッティングについてご講演して頂く。 まず,糸井先生と小玉先生には,ハードコンタクトレンズ(以下HCL)のベストフィッティングについて述べて頂くが,さらに糸井先生にはCLのフィッティングに関する用語の定義について,小玉先生にはHCLの修正についてもお話して頂く。ソフトコンタクトレンズ(以下SCL)の処方は簡単だと思われる方も多いと思うが,レンズによってフィッティングが大きくなることもある。渡邉先生には,SCLの選択とベストフィッティングについて述べて頂く。通常の球面のHCLやSCLの装用では良好なフィッティングが得られない,十分な矯正視力が得られない場合にはトーリックCLの処方を考えなければならない。そこで,梶田先生にはトーリックCLの選択とベストフィッティングについて述べて頂く。 4人の先生方には,ご講演頂いた後に私が用意した症例に対してどう考えどう対処したらベストフィッティングが得られるかをご教授頂く。症例提示にあたっては,スライドとビデオを利用する。4人の先生方には事前に症例についての情報はお教えしないので,会場での活発な討論を行いたい。西崎先生にはコメンテーターとして各症例のとりまとめをお願いする。

コンタクトレンズの選択と処方の実際
西崎 敬四郎  西崎眼科医院

コンタクトレンズをフィッティングすることは,年体にコンタクトレンズをいかに正しく適合させるかという問題です。そのために必要な条件は,(i)適応,(ii)選択,(iii)生体側の計測と検査,(iv)フィッティング状態の観察と評価,(v)装用者に対する取り扱い方法の指導, (vi)苦情処理です。私は,先生方のご経験のご発表に対して私見を述べさせていただく立場にあるようですので,現在,日本において用いられているハードコンタクトレンズの各部の名称,及び周辺カーブの現状の一例を示させていただき,抄録に代えたいと存じます。

コンタクトレンズのフィッティングに関する用語の定義
糸井 素純  糸井眼科医院

ベストフィッティングは本来,処方する医師によって異なるものではなく,目の状態と選択されたレンズの種類,レンズデザインによって決定されるべきものである。 私自身,欧米の著名なオプトメトリスト,眼科医,日本のコンタクトレンズ専門家達とフィッティング談義をしたが,ベストフィッティングに対する考え方はほとんど大差がなかった。しかし,他院で処方を受け,トラブルで本院を受診した患者のコンタクトレンズのフィッティングをみていると,非常にスティープなもの,非常にフラットなものまで処方を受けたところではベストフィッティングと説明されている。またケラトメーターの中間値とベースカーブが一致していればベストフィッティング,ケラトメーター中間値と一致していなければフィッティング不良と主張している勉強不足の人も多い。 角膜トポグラフィーの出現により理論的にレンズフィッティングを解釈できるようになった。レンズフィッティングはこれまでは主観的なものであったが,今後は理論的な解釈と論議を行い,処方者間の差を少なくしていく努力が必要である。 レンズフィッティングの勉強をする前に,コンタクトレンズのフィッティングに関する用語を正しく理解する必要がある。フラットとルーズフィッティング,アピカルクリアランスとスティープフィッティングなどを同一の考えている人も少なくない。本講習会では,代表的なコンタクトレンズのフィッティングに関する用語を正しく理解してもらうために,図と写真を使って説明する。

代表的なコンタクトレンズのフィッティングに関する用語

 1.アライメントフィッティング
 2.アピカルクリアランス
 3.頂点接触(アピカルベアリング)
 4.フラット
 5.パラレル
 6.スティープ
 7.ルーズ
 8.タイト

ハードコンタクトレンズの処方と修正
小玉 裕司  小玉眼科医院

ハードコンタクトレンズ(以下HCL)のベストフィッティングを把握するためには,フルオレセインパターンの見方を習得しなければならない。フルオレセインパターンというものは,涙液を染色することによってHCL下の涙液の状態を見ているのであり,角膜曲率半径とHCLのべ一スカーフの適合状態,角膜中央部における涙液層のクリアランス,ベベル幅・エッジリフト・各内面カーブの移行部におけるブレンドの良否などの情報が得られるが,同時に瞬目によるレンズの動きにも注目しなければならない。これらの全ての項目が適切であれば,それがHCLのベストフィッティングということになる。 ベストフィッティングにて処方されたレンズは,視力が安定しており,装用感も良く,涙液交換も十分に行われ,即ち目に快適で安全なレンズであるといえる。多種多様の素材とデザインを有する市販のHCLの中から,様々な角膜形状・眼瞼形状を持った患者に,どのようにしてベストフィッティングのレンズを選択し提供するかについて私見を述べたいと思う。 角膜形状には個人差があり,市販のHCLの中から,ベストフィッティングと思われるレンズを選択して処方しても,くもる,ずれる,異物感があるなどといった苦情を訴えられることがある。このようなときには,レンズデザインに修正を加えることで解決できることが多い。レンズデザインの修正は,フロント側,べ一スカーブ側のそれぞれに施すことができる。また,レンズデザインの変更(小さくする)も可能である。しかし,修正をレンズに施すにしても,ベストフィッティングがどのようなものであるのかを理解していない限り,レンズの何処をどのように研磨・加工してよいのかということを指示することはできないであろう。修正とは究極のベストフィッティングヘと近づける作業なのである。HCLに対する主な苦情とそれに対する修正の仕方について,ベストフィッティングというものを踏まえながら解説する。

ソフトコンタクトレンズの選択とベストフィッティング
渡邊  潔  ワタナベ眼科

ソフトコンタクトレンズ(以下SCL)のフィッティングは,ハード系に比べると簡単である。しかし,それぞれのSCLの特徴を知らなければ,処方後に固着し,障害を起こすことがある。SCLのフィッティングは,動きの大きいSCLと動きの少ないSCLに種類を大きく二つに分けて,観察しなければならない。 また,同じメーカーのレンズでもデザインが異なるとフィッティングが異なることもある。例えば,シュアビューBC8.80の使用者(角膜曲率7.65)に,2ウィークアキュビューBC8.70を装用させると,上方視で下方にレンズがずれることがある。とくに上眼瞼圧が高い場合,レンズを押し下げる。このような場合,2ウィークアキュビューはBC8.30に変更しなければならない。 新しいSCLに変えることによりフィッティングが変わることもあるので注意が必要である。極端な例を示すと,アレルギー性結膜炎の患者で眼脂が多いレンズに汚れが蓄積すると,3日目の頻回交換SCLであっても瞬目時にレンズがずり上がることがある。処方ミスのひとつとして,カラーソフトレンズは,虹彩色が瞳孔領に入ると見にくいという訴えがあるため,タイトなフィッティングを好む医師がいるが,固着を招くので絶対にさけるべきである。

トーリックコンタクトレンズの適応選択
梶田 雅義  福島県立医科大学

トーリックコンタクトレンズは特殊コンタクトレンズとして長い間,地道に開発が続けられてきたが,最近になって,頻回交換型トーリックソフトレンズが登場するなど,急激な変化が訪れている。それに伴い,コンタクトレンズを扱う眼科診療では,正しいトーリックレンズの処方技術が要求されるようになってきた。トーリックコンタクトレンズを処方することはそれほど難しいことではないが,適応を誤ると,処方に時間を要するばかりでなく,処方後にデータ変更を重ね,労多くして功なしとなってしまう。適応選択が正しければ,処方に要する時間や労は通常の球面レンズを処方するのとほとんど変わらない。 トーリックソフトレンズの適応は全乱視が 1.00~2.50Dの近視性直乱視である。近視性倒乱視の場合には乱視軸が正確に90°であるもののみを適応とする。遠視性乱視や混合乱視は軸の安定が得られないことが多いので,適応と考えない方が無難である。近視性直乱視で角膜乱視と全乱視の軸および瞼裂の傾きが一致しており,角膜乱視と全乱視の大きさがほぽ等しいものは,処方が容易である。 トーリックハードレンズの適応は角膜乱視が 3.00Dの直乱視あるいは倒乱視である。斜乱視は軸の安定が悪く,良好な矯正が得られない。乱視眼にトーリックハードレンズを用いるか,大きい直径(ラージサイズ)の球面ハードレンズを用いるかが議論になることもあるが,通常角膜乱視が輪郭から対側の輪部まで対称性がある場合(limbus to limbus astigmatism)には,トーリックハードレンズが望ましく,角膜乱視が角膜の中央のみで,角膜の中間周辺部では対称性のない乱視(central astigmatism)はラージサイズの球面ハードレンズで対処するのが望ましい。これらの適応選択は角膜形状解析装置が無くても,トライアル球面ハードレンズを用いてフルオパターンを観察すると,前者では対称性にレンズの浮きが観察されるのに対して,後者では角膜上方でレンズの浮きが観察されないことから容易に判断できる。 トーリックコンタクトレンズを処方するときに最も大切なことは,乱視を矯正するという力みを無くして,通常の球面コンタクトレンズと同じように気軽に処方することである。