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コンタクトレンズ関係資料 -おしゃれ用コンタクトレンズについて-

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平成17年4月1日に改正薬事法が施行され、コンタクトレンズ(以下CL)は副作用又は機能の障害が生じた場合(適正な使用目的に従い適正に使用された場合に限る)において人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあることから、その適切な管理が必要とされる高度管理医療機器に指定されました。
一般的に使用されるCLは近視、遠視、乱視、老視などを補正することを目的としている高度管理医療機器です。
一方、美容を目的とした度数の入っていないカラーCL(いわゆるおしゃれ用カラーCL)がありますが、これは高度管理医療機器ではありません。こうしたおしゃれ用カラーCLにはさまざまな問題があるので、使用にあたっては正しい情報を理解しておくことが大切です。


●カラーCLの種類
日本で販売されているカラーCLには、視力補正を目的とした(高度管理医療機器として厚生労働省の承認を受けている)ものと、視力補正を目的としていない度数の入っていないもの(医療機器の承認を受けていないもの)があります。ただし、度数の入っていないカラーCLでも遠視用から近視用と度数が続く場合に、度数の1つとして高度管理医療機器の承認を受けているものがあります。



●カラーCLの見え方への影響
カラーCLの問題点として、視力の低下に加えて視野や色覚に影響を及ぼすことがあります。実際にカラーCLを装用すると「色がかかって見えにくい」「色が気になる」と訴える人がいます。とくに装用直後は「薄い色のサングラスをかけたようだ」という人も多いです。暗い所では瞳孔が開くので、カラーCLの着色部分が瞳孔の一部を覆って、見え方が悪くなることがあります。まぶしさを感じることもあるので、夜間のドライブには気を付けましょう。

●カラーCLによる眼障害

透明なCLに比べて着色されたCLは汚れが確認しにくいため、ケアが不十分になりがちです。これに伴ってアレルギー性結膜炎などが生じます。おしゃれを目的としてカラーCLの使用を希望する人は認められた使用方法やケアをしていない人が多いようです。こうした不適切な使用による眼障害が増加しています。写真は当院で経験したカラーCLによる黒目(角膜)の障害です。黒目の中央よりやや上方に小さな白い円形の濁りがあります(診断名は角膜浸潤です)。

●おしゃれ用カラーCLの法規制
パロマ工業製ガス瞬間湯沸かし器による一酸化炭素中毒死傷事故や家庭用シュレッダーによる幼児手指切断事故などを受けて、消費生活用製品安全法が改正され、平成19年5月14日に施行されました。
改正消費生活用製品安全法では、製造・輸入業者は重大製品事故が生じた際は経済産業大臣に報告する義務があり、小売販売業者などが重大製品事故を把握した場合は製造・輸入事業者に報告するよう努めることとされています。また、製造・輸入事業者が事故原因を調査、回収などの措置をとり、販売事業者もこの措置に協力して再発防止に努めるよう求めています。経済産業大臣は報告を受けた場合、重大製品事故に関わる消費生活用製品の名称、事故内容などを公表します。
おしゃれ用カラーCLによる眼障害はこの法律が適用されることとなり、経済産業省の管轄になりました。経済産業省は「おしゃれ用カラーCLの事故は目を傷めるなどの人体に被害が及ぶものであることなどにかんがみ、重大製品事故の報告があった場合には、経済産業省から厚生労働省に通知し、事故の再発及び未然防止のため、両省が共同して適切に対応していく」としています。
 
●カラーCLの安全性
独立行政法人国民生活センターが平成18年2月3日におしゃれ用カラーレンズの安全性についての情報を提供しました。日本で購入する(個人輸入を含む)ことのできる度なしおしゃれ用カラーレンズで、高度管理医療機器の承認を受けていない青系4製品、茶系4製品、その他2製品と、高度管理医療機器の承認を受けているカラーレンズ2製品の合計12製品を対象として細胞毒性試験を行った(レンズに細胞を直接接触させて1週間後に正常に増殖しているかを調べた)ところ、全く問題がなかったのは3製品のみでした。問題のあった残り9製品について、レンズ抽出液原液を用いて同様な細胞毒性試験を行ったところ、2製品には眼粘膜刺激が認められると判断されました。これらの12製品に対して行った色素の溶出に関する試験では、4製品に色素の溶出を認め、金属元素(チタン、アルミニウム)の溶出を認めたものもありました。細胞毒性試験で問題のあった2製品は色素の溶出が確認されており、品質上の問題が指摘されました。なお、日本で承認を受けている2製品については色素の溶出は認めませんでした。
国民生活センターの雑誌「たしかな目 March 2006 No.236」で、消費者へのアドバイスならびに業者への要望、行政への要望を明記しています。以下にその内容を抜粋します。

1.消費者へのアドバイス
・ 視力補正以外の目的で、安易に使用しないほうがよいでしょう。
視力補正を目的としたコンタクトレンズは医療機器です。その中でも比較的リスクの高い高度管理医療機器に分類され、購入の際は医師による診断などを受けるべきものです。視力補正以外の目的で、安易にカラーCLを使わないほうがよいでしょう。
・ おしゃれ用カラーCLには、安全性や品質に問題があるものも見られたので十分注意しましょう。
おしゃれ用カラーCLは、医療機器ではないので、国内では安全性が保証されていません。安全性や品質が不確かなものは購入、使用しないほうがよいでしょう。また、個人輸入は自己責任のもと、商品を購入することになるので、購入・使用に関して十分検討する必要があります。
・ おしゃれ用カラーCLを装用して、夜間に車などを運転するのは危険
夜間に車などを運転するときには、カラーCLを外すか、運転をやめましょう。また、装用後に軽い眼障害が確認された商品もあったので、少しでも異常を感じたら、すぐに医療機関に相談しましょう。

2.業界への要望
・ おしゃれ用カラーCLの商品の水準が一定以上となるよう要望します。
おしゃれ用カラーCLで、細胞毒性が認められたり、色素の溶出が見られるなど、安全性や品質に問題があると思われる商品がありました。商品の水準が一定以上となるよう、要望します。
・ 医療機器のカラーCLは視力補正が目的。それ以外の目的で表示・販売することがないよう要望します。
度数の入っていないおしゃれ用カラーCLが医療機器に含まれない実態がある一方で、医療機器のカラーCLの中にも度数のない商品が販売されている場合があります。医療機器のカラーCLは視力補正を目的としたものであるので、それ以外の目的で表示・販売しないよう要望します。

3.行政への要望
おしゃれ用カラーCLに対するガイドラインの策定など、早急に具体的な対応をするよう要望します。また、医療機器のカラーCLは、視力補正以外の目的で表示・販売することがないように指導を要望します。
おしゃれ用カラーCLの中には、細胞毒性が認められたものや色素の溶出が確認された商品があり、問題でした。おしゃれ用カラーCLは医療機器ではありませんが、粘膜に長時間直接触れるものなので、安全性の観点からガイドラインの策定や商品の水準を一定以上にするための業界への指導など、早急に具体的な対応をするよう要望します。また、度数のないおしゃれ用カラーCLは医療機器に含まれていない実態がある一方で、医療機器のカラーCLの中には度数がなくても医療機器の承認を受けている場合があります。医療機器のカラーCLは視力補正が目的ですので、それ以外の目的で表示・販売することのないよう指導を要望します。
詳しくはhttp://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20060203_1.pdfをご覧ください。

●カラーCLとMRI検査
平成18年7月7日に、独立行政法人国立病院機構関東信越ブロック事務所統括部医療課放射線専門職から各施設診療放射線技師長宛てに「MRI検査時におけるコンタクトレンズの危険性について」という事務連絡がありました。その内容は、カラーCLの中には酸化鉄や酸化チタンなどの金属を含むものがあり、装用したままMRI検査を受けると発熱による角膜や眼球への障害の可能性があるという情報を受けて、MRI検査時にはカラーCLに限らずすべての使用者はCLをはずして検査を行うことにより危険性を回避し、患者に安全な検査を提供する体制をとることが必要であるというものでした(全国国立病院療養所放射線技師会のホームページhttp://www.nhort.jp/に掲載)。
その後、日本コンタクトレンズ協会が日本画像医療システム工業会(JIRA)とでカラーCLとMRI装置の相互作用の検証を行なったところ、すべての使用者がMRI検査時にCLをはずすのではなく、あくまで酸化鉄(磁性体)を有する色素を使用したカラーCLを装用している使用者のみがレンズをはずして検査を受けるよう、JIRAとしても周知徹底していくことが確認されました。
市販されている各社の酸化鉄を有する視力補正用カラーCLは既に添付文書等にその旨の注意喚起がなされていますが、その他のおしゃれ用カラーレンズは雑品として取り扱われているため、添付文書がないまま販売されているのが現状です。
この状況に対して、行政当局が新たな規制をもって迅速に対応することが望まれますが、MRI検査を受ける時にはカラーCLをはずして受けるようにしましょう。