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第52回日本コンタクトレンズ学会総会のトピックス

 2009年8月25日に発行されたMonthly Contactlensという新聞の第14号は、第52回日本コンタクトレンズ学会総会の特集でした。
 小見出しは「オルソケラトロジーに注目」、「シンポジウム コンタクトレンズケアを見直す」、「オルソケラトロジー用レンズ、日本で初認可 初めての認定講習会を開催 一般講演、共催セミナーも開催」、「3学会合同プログラム シンポジウム・クロスオーバーディスカッション CL装用者感染症で問題提起」でした。
 この記事の中で当院の院長が関する文を抜粋します。

「オルソケラトロジー用レンズ、日本で初認可 初めての認定講習会を開催 一般講演、共催セミナーも開催」
 植田喜一先生(ウエダ眼科)が保険と関連法制について、オルソケラトロジーの医療費と販売、保険診療と自由診療を解説した。レーシックの場合、術後合併症は自由診療、手術に関連がないと判断されるものは保険診療になるが、保険診療・自由診療の扱いはこれに準ずるとした。未承認レンズの取り扱いでは「現状は医師の裁量で、20歳未満の患者に対する処方も可能だ。厚労省は規制はできないが、承認レンズを使用してほしいとの見解だ。問題が起これば検討もありえる」とした。

「一般講演 インターネットを利用したCL使用者の実態調査」
 植田喜一(日本眼科医会)ら
 日本眼科医会は、目の健康情報サイトを開設、コンタクトレンズ(以下CL)の不適正使用による眼障害を啓発しており、平成20年度、同サイトでCL使用者の実態についてアンケート調査を実施したところ、9,904名から回答を得た。
 CLの購入先で注目されたのはインターネット販売で、12.4%であった。メーカーなどの調査では7~8%だろうといわれていたが、今回の調査ではこれだけの割合の人がインターネットで購入していた。
 これまで、CLを装用していてなんらかの自覚症状があったかを聞いたところ、過去と現在にわけたところ、大いにあった、あるいは時々あったという人は、過去では半数以上、現在も半数近くの人が自覚症状を訴えている。その症状はどういったものかをみると、乾燥感、目の疲れ、異物感といったものが多かった。では、こういった自覚症状によって生活(食事、身の回り、移動に不便を感じる事が過去、または現在あるかを聞いたところ、大いにあった、時々合ったという割合が高かった。仕事、学業での不便も、かなりの割合で、大いにあった、時々あったという回答が寄せられた。余暇でも半数近くの人が不便を感じていた。
 さらに、精神的な影響、つまりふさぎこんだりイライラしたりする、こういったことが過去、あるいは現在あるかを聞いたところ、4分の1の人が経験されていた。
 これまでにCLの使用を中止しなければならないトラブルがあったかについては、ないと回答されたのが47.1%、その一方で、トラブルのあった人は1回が19.5%、2~5会が25.9%、なかには10回以上という人も2.1%あった。そのトラブルのなかで、一番ひどい(治るまでにかかった日数)トラブルを聞いたところ、1日で治ったという人は4.3%、2~3日かかっている人も多くいた。そのなかでも、1週間から1ヵ月という方が25.2%と、治るまでにかなりの日数がかかっていた。日常生活ができなくなったというトラブルは14.9%、仕事ができなくなったというのは22.1%だった。 CLによる自覚症状のある人はかなりの割合であり、半数以上の人が生活、仕事などに不便を感じていた。精神的な影響を受けている人もいた。CLの装用を中止しなければならなかった例は約50%、原因としては長時間装用、連続装用、装用日数の超過、不適切なレンズケアなどが多いことがわかった。

「3学会合同プログラム シンポジウム・クロスオーバーディスカッション CL装用者感染症で問題提起 CL関連角膜感染症の原因」
植田喜一先生(ウエダ眼科)
 日本眼科医会はコンタクトレンズの眼障害調査を毎年行なっているが、去年の10月の時点で、角膜潰瘍・浸潤という項目だけをピックアップすると、14.2%あった。感染性角膜炎サーベイランスでは、20代の人の89.9%がCL装用者だった。つまり、若い人の角膜感染症にはCLがからんでいるとみても間違いはないというほどの状況になってきている。
 CLによる眼障害を見つけた際、患者にアンケートの調査票を渡し、ユーザーの実態を調べてみた。CLの種類では、2週間頻回交換型が54%と最も多く、レンズケアがらみの眼障害が多くなる傾向にある。一方、安全だと思われている毎日使い捨ても7%あった。使い捨てレンズは安全だと考えられているが、実際にはトラブルが増えていることを再認識させられた。
 CLの処方施設・購入先は、一般眼科、量販店が多く、問題になっているインターネット購入は3%しかなかった。現在、インターネットを利用している患者は10%前後とみられている。最新の日本眼科医会のCL実態調査では、インターネット購入者は12.4%だった。眼障害の割合は思ったほど多くない印象だ。
 装用時間では、やはり長時間装用しているとトラブルも多くなった。装用状況だが、問題なのは終日装用レンズを連続装用しているという人の割合が高かった。本来の使い方と違う方法で装用している人にトラブルが多いということがいえる。装用日数が決まっているレンズも、その日数を守っていないということも多い。決められた日数を超えて装用している人は、ではどのくらい超過しているのかというと、多くは毎日使い捨てを2~3日、ひどい例では1ヵ月以上使っている人もいた。2週間交換型も同様で、かなりの日数を超えて使っていた。とりわけワンデータイプのユーザーは、日数超過、連続装用、再使用しているという実態がある。
 シンポジウムでは洗浄、こすり洗いの重要性が指摘されていたが、やはり守っていないという人の割合が高かった。消毒方法はマルチパーパスソリューション(1剤で洗浄、すすぎ、消毒、保存するソフトコンタクトレンズケア用品)がほとんどで、マルチパーパスソリューションの消毒効果には限界があることを医師は再認識するべきで、ユーザーにも教育しなければならないと感じる。こういったアンケートをとると、記載なしという例も多い。レンズケアに何を使っているのか、眼科医が思いもよらないケアをしている可能性もある。ケア自体も、毎日はしていないという例が多かった。
 レンズケースの交換、ケアも、きちんとしている人は非常に少ない。ケースがらみの感染ということもクローズアップされて当然である。
 定期検査も、まったく受けていない、ほとんど受けていないという人が多数を占めた。
 アンケートの結果から導き出されたのは、ユーザーのコンプライアンスの問題である。装用時間が長い、装用期間を延長している、定められたレンズケアをしていない、定期検査を受けていないなどだ。いかにユーザーに指導していくか、学会、メーカーなどが、しっかりした活動をしていかなくてはならない。