山口大学医学部附属病院眼科をはじめ市内の総合病院・国立病院などとの連携により安心な医療を提供しております。

目の病気

まつげエクステによる被害の報告があがっています。
当院でも、まつげエクステによる目の異常を訴える患者さんが増加しています。

国民生活センター:まつげエクステンションの危害(2010年2月17日)
http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20100217_2.pdf

読売新聞ニュース(2014年5月7日)
http://www.yomiuri.co.jp/national/20140507-OYT1T50066.html?from=ytop_top

TBS系(JNN)ニュース「まつげエクステで目の異常、全国で1600人以上」
http://youtu.be/yWYr1J5KSu8

・「学校において予防すべき感染症の解説」

文部科学省(平成24年4月1日)、学校保健安全法、学校保健ポータルサイトより抜粋
http://www.uedaganka.or.jp/blog/EKC.pdf
 火山灰を含む洗顔料(商品名:シラスと泥のもちもち石けん、桜島はい美人、つかってみんしゃいよか石けん、火山灰でできたすごか石けん、など)が、目の中に入って目の表面を傷つけたというケースが報告されています。
 国民生活センターと厚生労働省はこれらの洗顔料の使用にあたって注意を呼びかけています。詳しくはhttp://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20100818_2.htmlhttp://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000kgav.htmlをご覧ください。
【 目の疲れ -2009年9月- 】
目の疲れを訴えて来院される患者さんはたくさんおられます。薬局で購入した疲れ目の目薬をさすと、目はスッキリするでしょうが、それで本当に疲れがとれるわけではありません。疲れの原因を考える必要があります。
見え方の悪い目で物を見ていると目が疲れます。したがって、どうして見え方が悪いのかを確認する必要があります。ご年配の方では白内障による視力低下や、緑内障による視野狭窄(見える領域が狭くなる)が原因のことがあります。糖尿病や高血圧の方では眼底出血が視力や視野に影響を与えていることもあります。その他にドライアイ、斜視、眼球運動の障害など、多くの疾患が原因としてあげられます。
私が日々の診察の中で、目の疲れの原因として最も多いと実感するのは、近視、遠視、乱視などの屈折異常や老視(老眼)などの調節異常の不適正な矯正です。

最近経験した症例を示します。
34歳の男性です。目の疲労を訴えて来院されましたが、肩のあたりがつっぱる感じで頭痛もするとのことでした。営業マンでパソコンは仕事で1日2~3時間は使用されていました。遠方(5m)の視力は右1.5、左1.5でよく見えています。近方(30cm)の視力は右0.9、左0.9でわりと見えています。ここで私が疑ったのが、両眼の遠視と調節性眼精疲労です。特殊な検査(調節麻痺剤を使用した屈折負荷検査、アコモドメータによる負荷調節検査)を行なって、上記の診断が確定しました。
視力はいいのですが、実は目の内の筋肉(毛様体筋)を無理に使って物を見ていたのです。筋肉は使いすぎると疲労します。遠視の方は特に近くを見るとひどく疲労してしまいます。この患者さんがパソコンを使用すると目が疲れるというのは、これで説明できます。 患者さんには遠視を矯正するメガネを処方しました。このメガネを使用することで、目の疲労、肩こり、頭痛の症状は良くなりました。
メガネやコンタクトレンズは物がよく見えないから使用するというだけでなく、疲れないために必要な場合もあることを知っていただきたいと思います。

一方、メガネやコンタクトレンズが適正な度数でないため、目の疲労を訴える方が数多くいます。メガネやコンタクトレンズを適正に合わせることは眼科医でも難しいことです。屈折・調節に詳しい眼科医に診ていただいて、処方せんをもらって、メガネ店やコンタクトレンズ販売店で処方せん通りのものを購入するように心がけてください。
単によく見えるメガネやコンタクトレンズではなく、快適に見える(楽によく見える)メガネ、コンタクトレンズが必要なのです。

48歳の女性です。メガネをかけると目が疲れると訴えられました。メガネをかけると右1.5、左1.2とよく見えていますが、患者さんの近視には明らかに度の強いメガネでした。このメガネは1ヶ月前にメガネ店で合わせたということでした。実はこの患者さん、1年半前に来院された際、日中はコンタクトレンズを使用しているが、コンタクトレンズをはずした時に使用するメガネを処方してほしいということで、検査をしてメガネの処方せんをお渡ししましたが、いろいろと事情があってその折はメガネ店に行かなかったそうです。その後、コンタクトレンズの調子が悪くなった場合のことを考えると、やはりメガネがほしいが、時間の関係もあって、直接メガネ店に行ってメガネを合わせたということでした。
メガネ店の店員は無資格者です。屈折異常や調節異常の検査をして、メガネを処方する行為は医療行為です。医療行為は医師、看護師等の免許を有する者(有資格者)に認められた行為で、法律を遵守するという立場から考えると、こうした行為は医師法違反です。無資格者による行為が不適正なために、度の合っていないメガネが売られているケースをたくさん経験します。高いお金を払って購入したメガネが原因で目が疲れてしまい、医療機関(眼科)を受診するというのはおかしなことです。眼科で適正なメガネを処方してもらって、その指示(処方せん)にもとづいて、メガネ店でメガネを作るようにしてください。


【 目の疲れ -2006年10月13日 読売新聞- 】
2006年10月13日の読売新聞に「「よく見える」も困りもの」という記事が掲載されました。これは当院の院長が読売新聞の取材に応じたものです。抜粋します。

目が疲れて肩こりがひどい。時には頭痛がする。近視で眼鏡をかけている北九州市の会社員有田幸(ゆき)守(こ)さん(41)は、ここ数か月、そんな症状に悩まされてきた。
仕事で1日7時間はパソコン画面を見つめる。目に悪いとわかっていても、やめるわけにはいかない。つらさに耐えきれず先月、勤務先に近い山口県下関市のウエダ眼科を受診した。
院長で山口大眼科臨床助教授の植田喜一さんは「パソコンの作業などが増え、目の疲れを訴える人が増えている」と話す。症状がひどいと、頭痛や食欲不振まで訴える人もいる。
植田さんは、有田さんの目の屈折度などを検査。持参した眼鏡も調べ、「あなたは軽い近視。今の眼鏡は度が強すぎ、遠くはよく見えても、デスクワークのような手元ははっきり見えないはず」と、目の疲れの原因を説明した。そして「仕事の際は、もう一段階弱くするか、眼鏡なしでもよいくらいです」と提案した。
「えっ」と驚いたのは有田さん。実は、ふだん使っていた眼鏡は持参したものよりさらに度が強い。数年前に眼鏡店でフレームを新調した際に検査し、「よく見えるよう、度をひとつ強くしておきましょう」と言われて作ったものだ。最近はかけるのがつらく、この日は古い眼鏡を引っ張り出してきていた。
「近視の人が陥りやすいのが、遠くがよく見える眼鏡が良いという誤解」と、植田さん。度が強ければ最初はよく見えても、やがて目に負担がかかり疲れやすくなる。疲れがひどくなると、近くだけでなく遠くを見るのにも影響が出て、さらに眼鏡の度を強くする、という悪循環に陥る。近視の人の8割は不適切な度の眼鏡をかけている、という見方もある。
目を細めるほど度が弱すぎてはダメだが、「よく見える中で最も弱いもの」を選ぶのがポイントだ。近視だと老眼にならない、というのも、よくある誤解だ。40歳を超えると、個人差はあれ、だれもが老眼になり、ピントの調節がうまくできなくなる。近視はもともと近くにピントがあっている。老眼になると、眼鏡やコンタクトレンズを外すと近くはよく見えるが、つけたままでは近くは見えづらい。遠くも近くもよく見たければ、遠近両用の眼鏡やコンタクトレンズが必要になる。
自分にとって「楽に見える」矯正方法を選ぶことが大切だ。

◆眼鏡・コンタクトレンズ選びのポイント◆
 ・まず眼科専門医で検査、処方してもらう
 ・「よく見える」ではなく、「楽に見える」ものを選ぶ
 ・高価なレンズは、自分に必要な機能があるか、よく検討を
 ・デザインだけを重視するのは禁物。目の中心部がレンズの中心にくるものを
 ・強度の近視や乱視は、コンタクトの方が有効
 ・遠近両用では見づらい人も。遠方用、近方用を別に作るのも良い




【 目の疲れ -遠視とメガネ- 】
2009年4月22日に37歳の男性が、目が疲れるという訴えで受診されました。患者さんは工場勤務で細かい作業をしているということでした。
遠方の視力は右が1.2、左が1.5です。近方の視力も右1.0、左1.0とよく見えていましたが、詳しく検査すると軽い遠視であることがわかりました。
遠視は目の中の筋肉を使えば見えますが、長時間筋肉を使い続けると疲れやすくなります。とくに近方を見ると疲れます。
患者さんには上記のことを説明して、近方用のメガネをかけて作業をすることをすすめました。
メガネを処方して4ヶ月経過して再来されたときに尋ねたところ、目の疲れはだいぶ良くなったと答えられました。
メガネは単に見えるためのものではなく、目が疲れないためにも使用するということを再認識したケースでした。


涙の量的異常あるいは質的異常によって黒目(角膜)や白目(結膜)に障害を生じることがあります。このような疾患をドライアイとよんでいますが、一口でドライアイといってもその背景となる原因や程度も様々です。
軽度の方ではまばたきを深く、回数を多くすることや人工涙液等を点眼することで良くなりますが、中等度から強度の方では特殊な方法で対処しなければならないことがあります。
涙は上まぶたと下まぶたにある涙点から涙小管、涙のう、涙道を経て鼻に流れていますが、この上下の涙点を人工的にふさいでしまうのが涙点プラグです。この涙点プラグはドライアイの治療にとても効果的ですが、自然に脱落する、挿入した涙点の周囲に肉芽が形成する、プラグによって角膜や結膜に障害を及ぼす、プラグが奥に入り込むなどの欠点に加えて、感染症を起こすなどの合併症もあります。
これらの問題点を改善するものとして液状涙道プラグが開発されました。特殊な水溶性のコラーゲンを涙点から涙道内に注入して温めると、このコラーゲンがゲル化して固まります。涙道内の涙の流れをふさぐことによって目に涙を貯留させます。この効果の持続期間は個人によって異なりますが、おおむね8週間です。
涙点プラグは中等度から強度のドライアイの方が、液状涙道プラグは軽度から中等度の方が適応だと考えます。
この治療法の導入にあたっては、第一人者の濱野 孝先生(ハマノ眼科 http://www.hamano-eye-clinic.com/)にご相談し、当院では当初から取り入れています。


鼻涙管狭窄症・鼻涙管閉塞症
泣くと鼻水が出たり、目薬をさした後にのどが苦くなったりしたことを経験した方も多いと思いますが、目と鼻やのどは管(くだ)でつながっています。上下のまぶたの内側に涙点という小さな穴がありますが、そこから涙小管、涙のう、鼻涙管を経て鼻につながっています。
この鼻涙管が狭くなったり閉じたりすると、涙が目にたくさん溜まります。涙が目の外に流れる、涙目になると訴えられる方は、この鼻涙管狭窄症や鼻涙管閉塞症の可能性が高いです。涙管通水・通色素検査によって確認しますが、狭窄しているあるいは閉塞していることが明らかになると鼻涙管に特殊な針金(ブジー)を入れて、つまった部分を拡張します。多くの場合はこの治療で良くなりますが、改善しない場合には目から鼻までしばらくの間、特殊なチューブを入れておく治療や、鼻の骨に穴を開けてバイパスを造る治療を行うこともあります。
涙のうに炎症が起こると涙のう炎といって、膿が目の方に逆流して、結膜やまぶたにも炎症を起こすことがあります。

先天性鼻涙管閉塞症
赤ちゃんが生後間もなくからずっと涙と目やにが出る場合は、鼻涙管閉塞症のことが多いです。生まれつき鼻涙管の鼻への出口に膜が張っているために起こる疾患です。小児科などで処方された目薬をさしても治りません。涙の通り道を皮ふの上からマッサージすることで自然に治る赤ちゃんもいますが、生後3ヶ月頃までに改善しなければ上述した針金(ブジー)でこの膜を破ります。
赤ちゃんの涙点は小さいですし、泣いたり動いたりするので、涙管通水・通色素検査やブジーによる治療は難しいです。ブジーを涙点から鼻までに通すにはコツがあり、必ずしも一度で成功するとは限りませんが、当院ではこれまで数多くの症例を手掛けています(2006年4月1日から2009年8月31日までに先天性鼻涙管閉塞症で来院された患者さんは23名です。これより以前の数は記録していません)。

涙管通水・通色素検査を行って、
鼻涙管が閉塞しているのを確認します。
ブジーⒶを涙点から鼻まで通します。
同じ長さのブジーⒷを並べて、ブジーⒶが
鼻まで達していることを確認します。

58歳、女性ですが、「今朝洗顔中に洗眼フォームが右目に入って、それから右目がゴロゴロする。」と訴えて来院されました。診察すると、右目の黒目(角膜)にこまかな傷がありました。上まぶたをめくると、小さな半透明の粒があったので、これを除去しました。
洗眼フォームの中にはスクラブという小さな粒子が含まれているものがあります。これが目の中に入るとなかなか取れません。この患者さんはかなり目をこすったようで、こすったことが角膜の傷につながりました。
こうした場合には、人工涙液の目薬をさして、まばたきをしてください。それでも症状が改善しなければ、眼科を受診してスクラブなどの異物を除去してもらった方がいいでしょう。
スクラブを含む洗眼フォームを使用する場合には、しっかり目をつぶって洗眼するなどして注意してください。
麦粒腫と霰粒腫
まぶたが腫れる疾患の代表が麦粒腫(めいぼ、ものもらい、めばちこ、などといわれています)と霰粒腫です。
まぶたには涙や汗の分泌線や毛孔(けあな)がありますが、その小さな孔から細菌が感染したものが麦粒腫です。抗生物質で治療しますが、膿(う)んだ場合には切開して、膿(うみ)を出します。
まぶたには涙の成分のうち脂分を出すマイボーム腺がありますが、そこに分泌物が溜まると、しこりを触れるようになります。急には大きくならないので、しばらくの間は放っておいても構いませんが、自然に治ることはほとんどありません。しこりの中に特殊な注射をすると小さくなって消えてしまうこともありますが、手術(切開)をして中に溜まっている物を出すと早く治ります。局所麻酔ですむ手術です。当院ではこれまで数多くの手術を行ってきました(2006年4月1日から2009年8月31日までに267件です。これより以前の数は記録していません)。暴れる子供さんでは眼球を傷つけるおそれがあることから、全身麻酔が必要な場合があるといわれていますが、当院ではこうした子供さんに対しても局所麻酔で対応しています。
なお、霰粒腫であっても細菌が感染すると、急に腫れて痛み、上述した麦粒腫と区別がつかないこともあります。一般のめいぼには、この化膿性霰粒腫も含まれます。高齢者ではまぶたの癌のこともあるので、しこりを触れたら早めに眼科医の診察を受けましょう。



マイボームの炎症(マイボーム腺炎)と同部のかたまり(マイボーム腺梗塞(こうそく))
-2009年9月15日-

両目の緑内障と左目の眼底出血で定期的に来院されている58歳、男性の患者さんです。左目のまぶたのふちが少し腫れていることに気付いていませんでしたので、その部のマイボーム腺に脂分が詰まっていることを指摘しました。炎症を起こすと腫れがひどくなって赤くなり、痛みを伴うようになるので、まぶたのふちのマッサージをしっかりするように説明しました。
3日後の今日、同部が腫れてきたという訴えで来院されました。炎所所見があるため、切開することにしました。切開する前の写真と詰まっていたかたまり、切開後の写真を掲載します。
こうした場合には目薬などの治療だけでなく、切開して詰まったかたまりを摘出した方が早く治ります。


眼球の表面の白目の部分とまぶたの裏側を覆っている薄い透明の膜を結膜といいます。この結膜に炎症が起こると結膜炎といいます。
結膜炎の原因としては、細菌やウイルスなどの感染症をはじめ、アレルギーによるものなどがあり、それぞれ細菌性結膜炎、ウイルス性結膜炎、アレルギー性結膜炎といいます。

【結膜炎の主な症状】
充血、 目やに、 かゆみ、 結膜の水膨れ、 まぶたの腫れ、 眼痛、異物感、 涙目


●細菌性結膜炎
結膜に細菌が感染して起こる結膜炎で、結膜が赤くなって、黄色いクリーム状の膿(うみ)のような外観を示すめやにが出ます。治療は細菌を殺す抗生物質を点眼します。細菌性結膜炎は人には移りません。


●ウイルス性結膜炎
結膜炎を起こすウイルスには多くの種類があり、ウイルスの種類が違えば症状や経過も違います。また、ウイルスには目への伝染力の強いものと弱いものがあり、伝染力の強いウイルスによる結膜炎は『はやり目』といいます。感染して症状が出るまで多少時間がかかります。



●アレルギー性結膜炎
目や目のまわりがかゆくなったり、白目が赤くなったりしたことはありませんか?
こうした目のかゆみのほとんどはアレルギー性の目の病気(結膜炎)によるものです。花粉やチリ、ダニ、ペットの毛、コンタクトレンズなどが原因でアレルギー性結膜炎が起こります。



関連:アレルギー性疾患の原因 (植物、ダニ編)


治療は内科的に血糖値をコントロールすることが優先されますが、病気が進行すると特殊なレーザーで網膜を凝固しなければなりません。
さらに病気が進行すると硝子体手術をしなければ失明してしまうこともあります。
糖尿病の方は定期的に検査を受ける必要があります。


当院ではこれまで糖尿病性網膜症等に対して、464眼のレーザー治療を行っております。
2009年9月5日に27歳の女性が、コンタクトレンズの検査で来院されました。
コンタクトレンズを装用すると目やにが出るということでしたので、原因を明らかにして対処しましたが、この患者さんは強度の近視でしたので、詳しい眼底検査を受けるようにすすめました。
約1ヶ月後の10月7日に再受診された折に目薬で瞳孔を開いて、精密に眼底を診察すると、カメラのフィルムに相当する網膜の周辺部に小さな円形の孔(あな)(網膜円孔)がありました。人によってはここから網膜が剥がれてくるという病気(網膜剥離)になります。網膜剥離が進行すると失明するので、外科的な手術を要します。この患者さんは網膜は剥離していませんでしたが、進行しないようにレーザーによる網膜光凝固術を行うことにしました(同日、当院で施術しました)。
近視が強度になると、眼球の前後は伸びます(球形がラグビーボールを横にしたようになります)。それにつれて眼球の内張りをしている網膜が薄くなるため、孔が開いたり、網膜剥離が起こりやすくなります。
近視の強い方や近視の進行が早い方は、詳しい眼底検査を受けることをおすすめします。

   赤色を帯びた円形が網膜円孔    白色調の小さな円形が網膜光凝固を行った部
カメラのフィルムに相当する部分を網膜といいますが、この網膜に小さな孔(あな)が生じて、この孔から眼球内の水(厳密には液化した硝子体)が網膜の下へ入りこんで、網膜が剥離する病気です。網膜に生じた裂け目を網膜裂孔といいますが、丸い形をしているものは円孔ともいいます。
網膜が剥離した領域では物が見えにくくなります。一般に網膜剥離は進行するため、見えない領域が広がります(最悪の場合は失明します)。物を見る中心部の網膜が剥離すると見え方が極端に悪くなります。
網膜裂孔(円孔を含む)が生じても網膜剥離を伴っていない場合には、網膜裂孔の周囲を特殊なレーザーで凝固(網膜光凝固術)を行うと、網膜剥離を予防できます。写真は当院で網膜光凝固術を行ったものです。
網膜剥離になると外科的に手術する必要があります。網膜の中心部が剥れた場合は手術で網膜剥離が治っても手術後の見え方は元のように戻らないことが多いです。したがって、早期発見、早期治療が求められます。
当院では手術は行っていませんので、網膜・硝子体を専門にしている眼科医がおられる医療機関をご紹介しています。

             網膜裂孔            網膜光凝固術後
2009年10月9日に83歳の女性が、一昨日から左側の顔面に発疹が生じて痛みを伴うという訴えで来院されました。
左顔面の上まぶたより上方だけでなく、頭にも赤い発疹を認めました。


専門的になりますが、この領域は三叉(さんさ)神経の第一枝が支配しています。ここにウィルス(詳しくは水痘帯状疱疹(すいとうたいじょうほうしん)ウィルス)が感染したのです。

▼帯状疱疹
体に帯状の発疹(ほっしん)ができて、少しの刺激でも痛みを感じます。原因は水ぼうそうを引き起こす「ヘルペスウィルス」の一種とされています。子どものころに感染したウィルスが脊髄(せきずい)などに潜伏し続け、加齢やストレス、疲れなどで免疫が低下したときに再び活動を始めることで発症します。
まれに発疹が下まぶたより下方、とくに鼻にまで及ぶことがあります(三叉神経の第二枝の支配領域です)。そうなると黒目(角膜)や虹彩、網膜、視神経などに炎症をきたすことがあります。この場合には早いうちに適正な眼科的な治療が求められます。
この患者さんは水痘帯状疱疹ウィルスによる眼球の所見はなかったので、皮膚科に紹介して、専門的な治療を受けていただくことにしました。
この帯状疱疹についてですが、宮崎県皮膚科医会が行った調査では、2006年までの10年間で2割強増えているとのことです(日本経済新聞2009年10月9日)。調査では、人口1,000人当たりの患者数(発症率)は10年間の平均で4.15人でした。調査開始年の1997年の3.60人に対して、調査終了年の2006年は4.55人でした(約2.6%増加しました)。
発症率を年代別にみると、40代までは平均2.41人でしたが、50代になると5.23人、70代では7.84人、80代では6.93人と、50代以上で発症率が高くなります。これは体の免疫能力が低下することと、地域が高齢化したことが影響していると考えられています。
男女別では女性の発症率は4.58人で、男性の3.67人より約25%高いという結果でした。
なお、水ぼうそうは感染力が強いですが、この帯状疱疹は弱いとされています。また、水ぼうそうは冬に流行しますが、帯状疱疹は夏に発症する人が多いといわれています。
ちなみに、有名な「四谷怪談」のお岩さんは、この帯状疱疹にかかったのではないかと考えられています。